光のイコプ

FF14超絶日常系


プレイヤーイベント「このサブ誰の子」導入編

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薄暗い宿の一室に、FC<<404 Not Found>>の面々が集まっていた。
大きな円卓を囲むように、11人は座っている。
彼らの目の前にはそれぞれ、琥珀色の液体が注がれたグラスがあった。
 
かおりしゃんは、緊張した様子の面々を見渡すと、静かに言った。
 
「さあ、始めましょう。タクティクス・テンパードを」
 
あなたは、他の面々と同様に、グラスを手に取る。
冷たく光るその液体は、薄明かりを通し虹色の影を伸ばしていた。
 
 

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タクティクス・テンパード。
 
それは、傭兵軍団としてエオルゼアに名を馳せる404 Not Foundが、昨今の蛮神問題の激化に対応すべくたどり着いた起死回生の作戦だ。
グリダニアの特殊錬金術を用いた精製によって抽出した、高濃度のエーテルを含む液体を摂取することで、自らをテンパード化する。一般的なテンパードであれば理性を保つことは難しいが、崇拝対象もメンバーの中から選ぶことで、傭兵集団としての理念を失わず、自我を保ったまま力だけを得られる算段であった。
ただ、その崇拝対象は蛮神化する可能性が高く、人の身でそれに耐えられるかどうかはわからない。その危険な役回りを買って出たのは、かおりしゃんだった。
「蛮神?おもしろいじゃない。蛮神シャンカオリ、望むところよ」
誰かがやらなければならない役回りだ。皆、彼女の信念に乗った。
そしていよいよ本日、作戦が決行されるのだ。
 
あなたは、かおりしゃんをちらりと見た。
彼女はあなたの視線に気がつくと、にっこりと微笑んだ。
安心して、大丈夫だから。そう彼女の瞳は言っていた。
 
あなたはうなづくと、目を瞑り、グラスの中の液体を口に入れた。
とろりとした、無味の液体。
冷たくも、熱くも感じる不思議な感覚のそれが、喉を通り、食道から胃に流れ込んでいく。
寸後、体中が熱くなった。
何かが、体の中からあふれ出ようとする感覚。いや、それは何かというよりも、自分自身が溢れて、消えてしまいそうになるような強烈な違和感だった。
 
あなたは、苦悶の声とともに、椅子から転げ落ちた。
見ると、他のメンバーたちも同様に、崩れ呻いている。
かおりしゃんが叫ぶ声が聞こえた。
 
「なんてこと・・・アシエンの・・・陰謀だったってこと!?」
 
あなたは薄れ行く意識の中で、かおりしゃんが、他のメンバーが、そして、自分自身の体が遠ざかっていくのがはっきりと視えた。
見上げるかおりしゃんの叫び声が、遠くわずかに聞こえる。
 
「みんな・・・待ってる・・・!転生しても・・・!」
 
「イフリート・・・ウルダハの・・・パールレーンで・・・!」
 
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どれくらい時がたったのかわからない。
あなたは、ある日、唐突にこの記憶を思い出した。
イフリートと呼ばれるエオルゼアの地で生きてきたあなたが思い出したそれは、前世の記憶だった。
導かれるように、あなたはウルダハの裏通り、パールレーンに向かった。
そこには、11人の人影があった。
皆、知らない顔をしている。ただ、一人を除いては。
全員が集まったことを確認すると、かおりしゃんは静かに話し始めた。
 
「これで、全員ね。みんな」
 
「思い出したよね、みんなの前世の記憶。過剰な量のエーテルの摂取で命を失ったみんなは、このイフリートの地で転生したの。あの作戦は失敗だった。あれはアシエンの陰謀だったの。あとでわかったわ。あの錬金術師は、アシエンの一味の一人だった」
 
かおりしゃんは、不思議な形をした電話機のような機械を地面に置くと、続けた。
 
「でも、エーテル、言い換えれば魂はこのエオルゼアの地で輪廻する。あなたたちが前世の記憶を取り戻せる道具をようやく作り出せたわ。よかった、みんなちゃんとイフリートで転生してくれていたのね」
 
あなたはようやく合点がいった。前世での記憶をかおりしゃんが呼び起こし、この地に導いてくれたのだ。とすれば、この残りのメンバーも、姿形は違えども、404の仲間たちに違いない。
あなた懐かしさと、嬉しさに破顔して、口を開いた。
 
「みんな・・・」
 
「待って!!」
 
かおりしゃんが、あなたの言葉を遮った。
その張り詰めた口調にびくりとして、あなたは口をつぐむ。
そこからかおりしゃんが語ったことは、想像だにしないことだった。
 
「みんな、落ち着いて聞いてね。あのとき、エーテルが奔流して、あなたたちの体から出て行く時に、私は見たの。アシエンの邪悪な魂が現れて、あなたたちと一緒に、空に消えて行くのを」
 
「そして、その邪悪な魂は、私の調査では、あなたたちのうちの誰かの魂を・・・乗っ取ったと思うの」
 
あなたはドキリとした。
魂を・・・乗っ取った?
 

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「今ここには12人いる。この中に・・・私たちの仲間のふりをした、アシエンがいるはずよ。奴は、私たちの仲間のふりをして、私たちを内部から陥れようとするはずだわ」
 
メンバーたちは、それぞれの顔を見渡した。皆、見たことのない顔をしている。外見からは、誰がアシエンなのか到底わかるはずもない。
 
「でも、安心してみんな。私に考えがあるの」
 
「裏切り者は、私たちのことは良く知らない。でも、私たちは、顔が違ったって、名前こそ明かさなくたって、誰が誰かなんてわかるはずよ。それこそ、あれだけの長い時間を一緒に過ごした仲間ですもの」
 
全員が息を飲む音が聞こえた。
あなたも静かにうなづいた。
かおりしゃんが言いたいこと、やりたいことががわかった気がした。
 
「そう、だからね。これから3日間。みんなは自分が誰だか明かさずに、一緒に過ごしましょう。その中で、誰が誰だかをこっそり考えるの。そうして、最後の日、私にこっそりその答えを教えて。みんなは当然わかるはずだわ、その中身が誰かって。その中で、誰が誰だか当てることができなかった人物が一人現れるはず・・・。その人物こそが、そう」
 
かおりしゃんはそう言って、にやりと笑った。
 
「アシエン・・・裏切りものの、ユダよ」
 
あなたは、集まったそれぞれの顔を見渡した。
不敵に笑うもの、不安そうなもの、いろいろな表情が見えた。
 
果たして、裏切り者は誰なのか。
 
裏切り者をあぶり出す、そして404の絆を問う3日間の静かな戦いが、今始まろうとしていた。
 
 

イベント:このサブ誰の子 in エオルゼア

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いざ、尋常に、勝負!



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